【真っ白な月】

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zoom RSS おでんからの逃避

<<   作成日時 : 2004/11/05 21:07   >>

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コンビニに足を踏み入れた瞬間から、その声は聞こえていました。

「おでんいかがですかぁ〜」
「おいしいおでんでぇす」
「いかがですかぁっ」

声を出していた店員は若い女性でした。

販売数にノルマがあって、積極的に勧めるよう言われているのでしょう。
それはよくあることですが、テンションが普通ではありませんでした。
新装開店のティッシュくばりのようなハイテンションです。

僕は弁当を手に取ってレジに並びました。
心の中でどうおでんの誘いを断るか、何度もシミュレーションします。
そうしないと、負けてしまいそうでしたから。

すると案の定、前の客がおでんを強く勧められていました。
今まで経験したことがないほど強く強くおでんを勧めています。
このままでは負けてしまう! 僕は決意を新たにしました。

その時、前の客がおでんを断りました。あっさりと。
すると、店員の女性はほんの一瞬、寂しそうな顔をしました。
もちろん、断った客は気付いていません。
気付いた上でおでんを買わなかったのなら、鬼です。

それくらいに感じられる寂しさを感じました。
彼女がバックルームで怒り狂った店長に虐げられる姿が目に浮かびます。
隣では、店長の奥さんが爪を磨きながらチクチクと嫌味を言っていました。
彼女がお釣りを取ろうとレジに手を入れると、お札の間にカミソリが挟まっています。
他のアルバイトの仕業でしょう。

そんな妄想が浮かんできたところで、我に返りました。
このままでは、負けは確実です。
おでんを断ることなど、とてもできそうにありません。

そこで僕は、レジの前で振り返り、手にしていた弁当を棚に戻して足早にコンビニから退出しました。
彼女のためにはそうする以外なかったのです。

彼女はぽかんとした表情をしていましたが、寂しそうではなかったのがせめてもの救いです。

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コメント(3件)

内 容 ニックネーム/日時
泣きながら、一気に読みました。
嘘です。ニヤリとしたり思わず声を出して笑ったりしながらです。
pongさん面白い方ですね。読んでいてちょっとだけ三谷幸喜みたいだなと
思いました。大好きです。これからも楽しみにしています。
いちか
2004/12/02 15:07
>いちかさん
こんな文章で笑っていただけて嬉しく思います。
ニヤリとしたり声に出して笑ったときに、いちかさんの周囲に人がいないことをお祈りします。
お気をつけ下さい。

これからも楽しみにしてもらえるなんて幸いです。
他にもっと楽しみにできることが見つかればもっと幸いです。
僕もいちかさんが大好きです。
pong
2004/12/02 23:33
う〜ん。
すごい妄想だねぇ。
pongさん、毎日楽しいでしょう?
三谷幸喜を飛び越えて、わたしには『劇団ひとり』の銀行強盗のネタがよみがえってきました。
わたしはそんな笑いが大好きです。
今度コンビニに入るときにはいろんなコトを見聞きしたいと思います。
人生が変わるかも知れません。
miyu
2005/03/20 14:41

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